ガバナンス強化の取り組み(2023年3月期)

基本的な考え方

クリタグループは、「"水"を究め、自然と人間が調和した豊かな環境を創造する」という企業理念のもと、水と環境の分野における事業活動を通じて広く社会に貢献することを目指しています。顧客、取引先、従業員、株主、地域社会といったさまざまなステークホルダーの権利や立場を尊重し、その期待に応えながら、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図っていきます。このために、当社グループは透明・公正かつ迅速・果断な意思決定ならびに実効性の高い経営の監督の実現を目的として、コーポレートガバナンスの確立に努めていきます。

コーポレートガバナンス強化のあゆみ

当社は、グローバル企業としての社会的責任を果たしながら持続的に成長していくため、ガバナンス体制の整備を進めてきました。今後も取締役会の機能を最大限発揮するために、当社にとって最適なコーポレートガバナンスを構築するため、適宜調整や見直しを行いガバナンスの強化を図っていきます。

取締役の指名と後継者候補の選定

取締役の指名方針・手続き

社外取締役をはじめとする取締役の候補者の選定にあたっては、多様性に配慮するとともに、取締役会が株主等ステークホルダーの視点を反映し、企業価値向上に資する経営の監督に注力する体制となるよう、予め定めた要件に基づき、取締役の候補者の指名を行います。指名委員会は、推薦理由を明確にした上で株主総会に推薦する取締役候補者を決定します。

執行役社長の後継者候補の選定および育成方針

指名委員会は、会社の目指すところおよび具体的な経営戦略を踏まえ、執行役社長の要件を審議の上、取締役会へ答申します。指名委員会は、取締役会にて定められたその要件に基づき複数の執行役社長の後継者候補を選定するとともに育成施策を策定します。執行役社長の後継者候補の選定ならびに育成施策の策定およびその進捗状況は、指名委員会の報告に基づき取締役会において定期的に確認します。

後継者育成のプロセス

指名委員会は、社長後継者候補、執行役後継者候補を選定し、取締役会の委任を受けて育成施策を策定します。候補の選定および育成にあたっては、各後継者候補の対象者に対する外部機関によるアセスメント結果などの客観的な情報も参考としながら、客観的で透明性の高いプロセスを経て選任することとしています。

役員報酬制度

役員報酬制度の基本方針

役員報酬体系

取締役・執行役の報酬は、役員の報酬の決定に関する基本方針に基づき、額またはその算定方法の決定に関する方針を役職ごとに定めています。
また、取締役と執行役の報酬体系・水準および執行役の業績評価については、その判断の客観性とプロセスの透明性を高めることを目的として報酬委員会決議により決定することとし、報酬委員会の職務執行状況は遅滞なく取締役会に報告します。

・取締役

取締役については、監督に注力するため、報酬体系は、固定報酬のみとしています。取締役(監査委員である取締役を除く)の固定報酬は役位別に、監査委員である取締役においては勤務形態別に応じて定めた額となります。
また、取締役が株主と株価変動リスクを共有するため、社外取締役および監査委員である取締役を除く取締役については、固定報酬の一部を非業績連動型株式報酬とするとともに、社外取締役および監査委員である取締役については、固定報酬の一部を役員持株会に拠出し、当社株式の取得に充当することとしています。社外取締役および監査委員である取締役を除く取締役は、役位に応じてポイントが付与され、付与ポイント数に相当する当社譲渡制限付株式が毎年交付される非業績連動型株式報酬が導入されています。

・執行役

執行役の報酬体系は、役位別に定められた固定報酬と業績連動報酬で構成されています。業績連動報酬は、短期インセンティブ報酬と長期インセンティブ報酬に分かれます。短期インセンティブ報酬は、連結業績連動報酬、各執行役の担当職務業績報酬、その他貢献報酬の業績指標および環境貢献係数で構成します。連結業績連動報酬については、ROICの対前年差、担当職務業績報酬については、担当部門の連結売上高営業利益率の対計画差と連結売上高事業利益率の対計画差等、その他貢献報酬については、当連結会計年度の業績に反映されない企業体質の強化やM&A等の大型投資案件の実施等に基づき評価します。また、社会価値の実現を通じて企業価値を向上させるため、CSVビジネスによる節水貢献量、GHG削減貢献量、資源化貢献量・資源投入削減貢献量の各指標の計画達成率とともに環境貢献係数を設定し、環境貢献係数に業績指標に対する達成度に応じた支給率と役位別基準額を乗じ短期インセンティブ報酬を算出します。長期インセンティブ報酬は、在任期間中の各事業年度のROEおよび株主総利回り(TSR)の実績に基づき役位に応じてポイントが付与され、付与ポイント数に相当する数の当社の譲渡制限付株式が毎年交付される業績連動型株式報酬制度です。これら報酬の決定方法は報酬委員会により決議され、報酬委員会の職務執行の状況は遅滞なく取締役会に報告されます。

監査体制

監査委員会は、当社および当社の子会社の業務の執行を兼務しない3人の取締役(うち2人は社外取締役)により構成され、委員長は社外取締役が務めています。業務執行からの独立性を高めるとともに、当社では常勤の監査委員を置くものとし、2人を選定しています(うち1名は社外取締役)。常勤者としての特性を踏まえ、監査環境の整備および社内の情報の収集に積極的に努めるとともに、内部統制システムの構築・運用の状況を日常的にモニタリングしています。
また、監査委員会の職務を補助する組織として監査委員会事務局を設置して、専任の従業員を配置するとともに、必要に応じて内部監査部門である監査室所属の従業員に対し補助を行うよう指示をすることができるよう体制を整えています。

2023年3月期における監査役監査の状況

2023年3月期は、監査役会は11回開催され全監査役がすべてに出席しました。監査役会における主な検討内容としては、監査方針や監査計画の策定、監査報告書の作成、会計監査人の選任、会計監査人の報酬、定時株主総会への付議議案内容等を討議しました。また監査計画においては内部統制システム(財務報告に係る内部統制を含む)およびリスクマネジメント体制の構築および運用の状況、事業計画の重点施策等の取り組み状況の監査を重点監査項目として設定し活動しました。
なお、2023年3月期において当社は監査役会設置会社であり、2023年6月29日をもって指名委員会等設置会社に移行しました。

株主・投資家との対話

当社グループは、株主を尊重した経営を志向し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するため、株主・投資家の意見に耳を傾け、株主・投資家との建設的な対話の促進に努めています。当社が情報発信にあたって重視するのは、公平性と透明性です。さまざまな説明の場で用いられた資料や質疑応答要旨については、可能なかぎり当社IRサイトに掲載することで、公平な情報開示に努めています。また、株主の利便性向上を図る取り組みとして、招集通知やコーポレートガバナンス報告書の英訳、招集通知発送前の早期開示などにも取り組んでいます。

IR・SR活動の実績

当社グループは、国内外の機関投資家、国内個人投資家向けに、各種説明会や個別面談を通じて、対話機会の確保に努めています。決算説明会におけるメインスピーカーは執行役社長と経営管理本部長が務めており、日常的な対話については、経営管理本部長が責任者となりIR・SR担当者のほか、ESGを統括する部署の担当者が協働して行っています。新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後も、電話会議やウェブ会議を活用した機関投資家との対話が継続していることに加え、海外から来訪される投資家の増加、海外ロードショーの実施によって直接の面談も増やしています。また、SRミーティングと題して、主にサステナビリティへの取り組みやコーポレートガバナンスをテーマとした株主との対話も継続的に行っています。2023年3月期は延べ約290回の個別ミーティングを実施しました。また、2022年4月に開設したKurita Innovation Hubにおいて、研究開発事例やイノベーション創出の取り組みを紹介する施設見学会を、機関投資家向け、個人株主向けに、それぞれ実施しました。
株主・投資家との対話によって得られた意見や要望は、取締役を含めた経営層に速やかにフィードバックし、経営改善だけでなく開示情報の充実などさまざまな面での改善につなげています。

政策保有株式

当社は、取引関係の強化などを目的に、政策保有株式として上場株式を保有しています。保有する株式ごとに経済合理性を検証するとともに、保有先との取引実績を精査し関係性を検証しています。この結果に基づき、取締役会において定期的または適時に保有の適否を見直し、保有株式の縮減を図っています。縮減を進めてきた結果、2023年3月末には、2019年3月末比、銘柄数で約3割、貸借対照表計上額は約6割減少しています。

保有方針

  1. 取引関係の強化等の目的のため政策保有株式として上場株式を保有することがある
  2. 保有にあたっては、保有リスクの最小化に努め、個別の政策保有株式に対しては取締役会において保有の適否を見直し、
    その結果に基づき縮減に努める
  3. 当社の企業価値向上に資するかどうかを勘案し議案ごとに議決権を行使する
  4. 政策保有株主から当社株式の売却意向を示された場合にその売却を妨げない